安倍元首相の事件が起きる数日前、2人のご婦人が我が家にやってきた。
「ビンポーン」、「はーい」
げ、やばい・・・
玄関のドアを開けて、おばさん2人組が立っているのを見て後悔した。
「エホバか?生命保険かな。開けるんじゃなかった」
女性二人組の訪問者は面倒だ。宗教か、生命保険。めんどくさい。
アポ無し訪問反対!!なんという強心臓だろうか。
このままドアを閉めちゃいたい。
オバさんがいきなり紙を差し出した。はっきり覚えてないが「署名してほしい」だとかそんなことを言っていたように思う。
その紙には、箇条書きで
・祖父母を敬います
・不倫はゆるさない
・うんぬんかんぬん・・・
というような「道徳的にはそりゃそうでしょう」的なことが10個ほど書かれていた。
「あ、こういうのお断りしてます。わたし署名しませんから。」
簡単に引き下がる相手ではない。
「でも、この内容についてはどう思われますか?同意されますよね。」と紙をグイグイ。
おっと、ワシだって油っこさでは負けてはいないぞ。
「ここに書いてある文字だけじゃ、何とも言えないっすね〜。同意できないです。」
「えぇっ? でも、この内容には賛成してもらえますよね?」
聞こえる、婦人のこころの声が(信じられない!あなた頭大丈夫ですか?)と。いやだからできないって言ってんだけどね。
この人たちがしつこく「同意」を求める理由がわからない。ワシがそれに同意したからってどうなるっていうんだ、同意しないけど。
「いやいや、こんな文字だけじゃ判断できないですよ。色々な背景や状況があるだろうから、それによって返事も変わります。」
世の中には極悪なじいさんや性悪なばあさんだっているでしょうよ。社会的には不倫であっても当人同士は純愛ってこともあろう。国によっては文化も違うしな。
ワシは全身全霊、本気の気で意見を述べた。婦人の笑顔が諦めムードになっていく。
そもそも最初から笑顔が嘘くさかった。それでもワシはこの直球に婦人たちの本気が帰ってくるのを期待していたのかもしれない。けれど「この内容に・・・」以外のセリフは出てこない。オマエ自身の思いはどこへ行った!?
押し問答の末、サブメンバーのご婦人が顔を背け、同意おばさんも無言となった・・・
「あのゴリラ可愛いですよね、では〜」と、夫のお店の看板ゴリラを褒めて婦人たちは退散。
その後、あの事件が起きて、あれは「旧統一教会」の信者だったのだと気づく。
うちから車で10分もかからないところに教会があるもんな。